在庫ソリューション・コンサルタントの黒田龍介です。
「ドライバーが荷崩れを起こし、弁償したものの大量の商品が手元に残ってしまった」「フォークリフトの操作ミスで商品を破損させてしまい、保険で損害はカバーできたが、現物の処分に困っている」——そういった相談が、私のもとには定期的に届きます。
運送事故品・倉庫内事故品は、多くの事業者にとって「厄介な残留物」として扱われがちです。しかし、私はそうは見ていません。それは、まだキャッシュに変えられる可能性を持つ「資産の残骸」です。
この記事では、運送事故品や倉庫内事故品を買い取ってくれる業者を厳選して紹介します。事故が起きた直後に何をすべきか、どこに連絡すべきか、そして法的・税務的にどのような注意が必要かまで、プロの目線で解説します。感傷は不要です。まず、その在庫をいくらで現金化できるか——そこから考えましょう。
目次
そもそも「運送事故品・倉庫内事故品」とは何か
運送事故品の典型的なパターン
運送事故品とは、輸送中に発生した事故によってダメージを受けた商品のことを指します。具体的には以下のようなケースが該当します。
- 積載中の荷崩れによる商品の破損・変形
- 雨天時の荷台浸水による水濡れ・汚損
- 車両事故による強い衝撃での破損
- 落下・傾斜による内容物の損傷
- 外箱のみの破損(中身は無事)
中でも注目すべきは「外箱のみの破損」のケースです。梱包が潰れたり汚損したりしても、中身の商品そのものには問題がない場合、買取業者への売却が十分に可能です。荷主から全量の弁償を求められた後に「商品は使えるのに廃棄するしかない」と諦めていた事業者も少なくありませんが、それは正しい判断ではありません。
倉庫内事故品の典型的なパターン
倉庫内で発生する事故品は、物流業者・EC事業者・製造業者を問わず日常的に発生します。主な原因は以下の通りです。
- フォークリフトによる衝突・落下
- 棚からの落下・積み崩れ
- 雨漏りや結露による水濡れ
- 他の商品との接触による汚損
- 検品作業中の落下・取り扱いミス
一般社団法人日本倉庫協会の統計によれば、倉庫内での破損事故は全物流事故の中でも件数が多く、その多くは「人が介在する作業」の際に発生しています。在庫管理の観点から見れば、こうした事故品をどう処理するかは、倉庫運営コスト全体を左右する重要な経営課題です。
事故品を放置してはいけない3つの理由
事業者が事故品を倉庫の片隅に積み上げたまま放置してしまうケースを、私はこれまで何度も目にしてきました。しかし、これは経営上の大きなリスクです。
- 保管スペースの無駄な占有が続き、倉庫コストが増大し続ける
- 時間の経過とともに商品の状態がさらに悪化し、買取価格が下がる
- 経理上「棚卸資産」として計上されたままであれば、実態のない資産として帳簿に残り続ける
「損切りは敗北だ」という感情論は、ビジネスの世界では通用しません。事故品を可及的速やかに現金化し、次の仕入れ・投資に回すことがキャッシュフロー改善の原則です。放置すればするほど、あなたは二重の損失を被ります——弁償コストに加え、本来得られたはずの売却益まで失うことになります。
運送事故品・倉庫内事故品を買い取る業者5選
リサーチの結果、事故品・破損品の買取実績がある信頼性の高い業者を5社に絞り込みました。各社の特徴を整理した上で、詳しく解説します。
| 業者名 | 対応エリア | 得意分野 | 支払い | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| NAKASHO | 全国対応(東海中心) | 家電・雑貨・食品・事故品 | 即現金 | 創業70年。破損品の在庫買取に特化 |
| 白石商事 | 全国対応(東海圏中心) | 雑多な在庫・訳あり品 | 即現金 | 荷崩れ事故品の買取実績を公開 |
| キンブル | 全国対応 | アパレル・家電・食品・B品 | 即現金 | 創業70年以上。年間5,000万点超の取扱 |
| 株式会社アスト | 全国対応 | 法人在庫全般・返品品 | 即現金 | 海外20カ国以上の販路を保有 |
| インバースネット | 全国対応(神奈川拠点) | IT機器・OA機器・B品 | 都度確認 | ヤマダホールディングスグループ |
①NAKASHO(ナカショ)
創業70年の老舗在庫買取業者です。NAKASHOのウェブサイトでは、物流倉庫内での破損品処理に関する詳細な情報を公開しており、事故品買取への専門的な取り組みが伺えます。
東海地方を主要な営業エリアとしながら、全国からの問い合わせにも対応しています。家電製品を中心に、雑貨・食品と幅広い品目を取り扱い、「商品事故品・返品在庫など訳あり品でもお取扱い可能」と明言しています。
特に注目すべき点は、少量多品目から大ロットまで対応している柔軟性です。事故品は一定数量が発生するケースが多く、大量処理に慣れた業者を選ぶことが重要です。相談から最短4営業日で現金化に対応しているというのも、キャッシュフローを重視する事業者には評価できるポイントです。
②白石商事
愛知県豊橋市を拠点とする在庫買取業者で、実際に「運送会社様から荷崩れ事故品の買取」という実績を公開しています。これは、運送事故品の買取において具体的な経験値を持つ数少ない業者のひとつです。
同社の買取事例には、ゼリーを輸送中に荷崩れを起こしてしまったケースで、外箱に損傷があったものの中身には問題がなかった商品を約3,500個買取したという記録があります。こうした実例は、業者選定において非常に参考になります。
東海圏を中心に、パートナー企業との連携により本州全域に対応しています。新品・中古品・アウトレット品・B級品を問わず買取可能で、ブランドイメージを保護するために国内では流通させず海外への輸出ルートを活用している点も、荷主側にとって安心材料となります。
③キンブル
愛知県を拠点に全国展開する、在庫買取業界屈指の規模を誇る業者です。創業70年以上の歴史を持ち、年間5,000万点以上の在庫買取実績があります。直営で大型リサイクルショップを複数店舗運営しているため、「訳あり品・返品・ダメージ品は得意分野」と公言しています。
B品・展示品・中古品・難あり在庫の買取に強みがあり、食品から大型家電まで幅広い品目に対応しています。自社便・チャーター便による現地引き取りにも対応しており、最短で問い合わせ翌日に商品を回収することも可能です。
大手企業・官公庁との取引実績も多数あり、コンプライアンスを重視する企業が安心して依頼できる環境が整っています。買取後の商品の販路(国内店舗のみ・海外輸出のみなど)についても相談に応じているため、ブランド保護の観点からも柔軟に対応できます。
④株式会社アスト
全国対応の法人専門在庫買取サービスです。公式サイトでは「不良在庫の種類として、過剰生産・発注ミスで残った在庫、型落ち、運送事故等での返品品等が考えられます」と明記しており、運送事故品の取り扱いに明確な対応姿勢を持っています。
20カ国以上の国・地域への海外販売ルートと、国内50社以上の卸先ネットワークを保有しているため、サンプル品・B級品・中古品など他社では買取が難しい商品でも査定できるケースがあります。
メール・LINE・ZOOMによるリモート査定にも対応しており、発送買取の際の送料は全額アスト負担という点も、コスト意識の高い事業者には魅力的な条件です。プライバシー保護を最優先に考え、企業や商品情報の漏洩防止対策も徹底しているとしています。
⑤インバースネット株式会社
神奈川県横浜市を拠点とする在庫買取業者で、ヤマダホールディングスグループの一員です。パソコン・スマホ・サーバ・OA機器などのIT機器に特に強みを持ち、「長期在庫・不良在庫・B品・返品在庫・アウトレット品・倒産品を高額買取」をうたっています。
産業廃棄物処分業許可証・産業廃棄物収集運搬業許可証・古物商許可証を保有しており、法的な信頼性は高いといえます。「正常・故障・破損問わず、お問い合わせください」というスタンスで、事故により破損した電子機器類の処理には特に適した業者です。IT系商材の事故品がある場合は、まず優先的に相談する価値があります。
業者を選ぶときの3つのチェックポイント
5社を紹介しましたが、業者選定において何を優先すべきかは案件の内容によって異なります。私がコンサルティング現場で必ず確認する3点を挙げます。
①古物商許可証を保有しているか
在庫買取業者が商品を買い取る行為には、原則として古物商許可が必要です(古物営業法に基づく)。許可を持たない業者との取引はトラブルの原因になりますし、万が一問題が発生した際に法的な対応も困難になります。警視庁の古物営業法解説ページで、古物商の義務と規制について確認しておくことをお勧めします。
問い合わせの際には、必ず「古物商許可番号」を提示してもらうようにしてください。まともな業者であれば、すぐに回答できるはずです。
②買取後の商品の流通ルートを明示しているか
事故品といえど、それが自社ブランド商品であったり、OEM製品であったりする場合、安易に国内市場に流通させられると価格崩壊やブランドイメージの毀損につながります。「どこに売るのか」「ネット販売はするのか」「海外輸出のみの対応は可能か」——これらを事前に確認・合意した上で契約するのが、プロとしての正しい判断です。
③現物確認なしの査定と、最終価格の透明性
電話やメールだけで買取価格を確定させる業者には注意が必要です。事故品は状態のばらつきが大きいため、現物確認後に大幅な減額を提示してくるケースがあります。信頼できる業者は「現物確認後に最終価格を提示する」という手順を明確にし、査定後のキャンセルにも無料で応じます。
買取をスムーズに進めるための実践的な準備
業者へ連絡する前に、以下の情報を整理しておくと査定がスムーズになります。
- 商品名・品番・型番(分かる範囲で)
- 商品の数量・総重量の概算
- 事故・破損の状況(外箱のみか、内容物にも損傷があるか)
- 現在の保管場所・搬出可能な時期
- 希望する引き取り方法(業者持ち込み・出張引き取り・発送)
- 保険での弁済が完了しているかどうか
特に「保険での弁済が完了しているかどうか」は重要な確認事項です。保険金として受け取った後の商品の処理については、保険会社との契約内容によって制限が生じる場合があります。不明な点は、担当の保険代理店または弁護士に確認してから動くことを強くお勧めします。
また、複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」は必ず実施してください。事故品の買取価格は業者によって大きく異なります。1社だけの査定で判断するのは、経営判断として不合理です。
買取を依頼するうえで知っておくべき法的・税務的注意点
所有権の確認
運送事故品の場合、弁償前の段階では商品の所有権は荷主(依頼主)にあります。弁償が完了した後に初めて、運送業者がその商品の処分権を持つことになります。弁償前の段階で商品を売却・処分することは、荷主との契約違反になる可能性があります。必ず弁償処理の完了を確認してから動いてください。
在庫評価損の計上
事故品を廃棄せずに買取業者に売却した場合でも、売却価格が帳簿価格を下回る場合は「在庫評価損」として損失計上が可能です。ただし、税務処理の方法は事案によって異なります。決算期をまたぐ処理になる場合や、大量の在庫評価損が発生する場合は、必ず担当の税理士に相談してください。
廃棄との損金算入の違い
廃棄処分と買取処分では、税務上の取り扱いが異なる点があります。廃棄の場合は廃棄損として損金算入するために廃棄証明書が必要になるケースがあります。一方、買取の場合は売却収入として計上されるため、帳簿価格との差額が損失として処理されます。どちらが有利かは個別の状況によって異なりますので、安易な判断は禁物です。
まとめ
運送事故品・倉庫内事故品は、事業者にとってつらい経験の産物です。しかし、感情的になっていては、戦略的なキャッシュ創出の機会を見逃します。
今回紹介した5社(NAKASHO・白石商事・キンブル・株式会社アスト・インバースネット)はいずれも、事故品・破損品・訳あり品の買取に実績または対応意欲を持つ業者です。まずは複数社に問い合わせ、相見積もりを取ることが最初の一手です。
行動するなら、今日です。商品の状態は時間とともに悪化します。眠らせている事故品を現金に変え、次のビジネスの血流を作ってください。その判断を後押しするための情報を、このブログでは引き続き発信していきます。